どうして美術の道を選択したのか。といった質問を受けることがある。
好きなこと(物をつくる事)をただただ続けているだけなのだけど、振り返ってみるとポイントポイントできっかけがあった。出会いがあった。その繰り返しだったように思う。
始めは高校受験の時だと思う。
私が高校受験する年の数年前に県内に新しい高校が創設された。そこには県内ではじめて美術科が設けられたことで当時注目された。
好奇心旺盛な父が何の気なしに私に「美術科、受けてみる?」と言った。(その高校は家から片道2時間はかかる)
不思議と誰も止めなかった。当時の担任の先生が美術の先生で、むしろ応援してくれた。
高校(美術科)に入ってからは、県内から集まったそれはそれは個性的なクラスメイトに囲まれながら、己の普通さに悩み、美術の楽しさよりも、難しさ(基礎と表現)に打ちのめされた。
東京の美術大学を目指せるレベルでは無いと思っていたのだけど、先生方がそそのかした。(担任の先生は東京藝術大学出身、専攻していた油絵の担当先生が多摩美術大学、東京造形大学の出身で固められていた…!)
一年浪人したのち(この1年、狂ったように描いた。多分、ちょっとおかしくなっていたと思う)多摩美術大学に入学。受験から解放された喜びを嚙み締めつつ、のびのび制作に勤しむ。(毎日アトリエにいるので友達がいないのではないかと教授に心配された事がある。←失礼しちゃう。)
大学2年の時に出会った教授のおかげで、作るだけでなく、展覧会で発表することの楽しさと喜びを知る。
以降、作品を作ることで出会う人に刺激されながら、もっと良い作品を作りたい。次はこうしたい。の気持ちに突き動かされながら、とりあえず、今日まで作り続けている。
部屋を片付けていたら出てきた大学受験対策の為に描いた大量のデッサンと油彩(画像の作品。だいぶ捨てたはずなんだけど…)を久しぶりに眺めながら、そんなことを思った。(下手だけど、すごく頑張っているなあ、としみじみする)
美術の道を選択したことが幸か不幸か、今も制作を続けていることが賢明かどうかはわからないけれど、少なくとも、今の私は「作る事」で作られていることは明確。
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