Vol.32 おかしの家、のこども

最終更新: 5月17日


2月の個展を終えた翌日。母から、祖父(母方の)が亡くなったと連絡があり、東北の実家へ帰省した。葬儀会場へ向かうその車の中で、父が「お店、辞めるから」と宣言した。

実家はお菓子屋。田舎の菓子屋にはよくあるのだが、和菓子も洋菓子も作っている。

父と母と、祖母(94歳の看板娘!)で営んでいたが、ここ何年かはしょっちゅう「もうやめる」と言っていたので、辞める辞める詐欺だと笑っていたのだけど今回は本当なんだなと解った。父も定年を過ぎてなおよく働いて

きた。もう十分だね、とも思うけれど、小さい頃から食べていたお菓子が食べられなくなるのか。とか、友人や職場の方へのお土産に持っていっては食べてもらうこともできなくなるな、と思うと寂しいもので…

実家から送ってもらったお菓子を、描くことにした。今、一日一枚、菓子を描いている。ケーキは送るのがむずかしいから、どうしようかな。

食べたくなったら作れるようにレシピと作り方を教わりに行きたいけれど、新型コロナウィルスのせいでしばらくは帰れないだろう。

父の意向で誰も家業を継ぐことなく、来年のさくら餅のシーズンをもって、終えることとなる。

けれど、いつも早朝からお菓子の仕込みをしていた父母同様、私はいつだって早朝から制作をはじめる。きっと、何かは受け継がれていくはずだ。と、思っている。